『デッドヒート瞬』(原作)

「月刊少年マガジン」連載作品


原作・鶴見史郎
作画・もろが 卓


 『月刊少年マガジン』連載

   『デッドヒート瞬』  原作


  第3話「激走! メガロポリスGP」の巻(下)

★前回までのあらすじ――改造車マニアの矢切瞬は、皇居の周囲につくられた特
設コースで行われる「メガロポリスGP」に出場する。これは暴走族対策に頭を
痛めた警視庁が企画したもので、このレースで警視庁が用意したマシンに走り屋
たちが勝てたら、走り屋たちが自由に走ることができる解放区を建設してくれる
というのだ。ただし、もしも走り屋たちが負けた場合は、二度と都内では走らな
いという条件をつけられた。瞬は改造したホンダ・シティで勇んでレースに参加
したが、警視庁が用意してきたのは、なんと、ルマン24時間レースで何度も優勝
したことのあるスポーツプロトタイプカー、ポルシェ956を白黒のパトカーカ
ラーに塗ったものだった。しかもマシンのサイドには「警視庁」と書かれている。
ドライバーは、高速機動警邏隊でピカイチの運転の技を持つ南郷警部補だった。
 そしてレースは始まった……)

○日比谷交差点

        コース図をオーバーラップさせ、ポルシェ956に肉迫するシティ。
アナ(アナウンサー)「第1回メガロポリスGP! ルマンの覇者ポルシェ95
    6に、変身を遂げたシティが迫る!」
アナ「共に、そのボディ内に、ダウンフォース――タイヤの接地力増強用のウィ
    ングを秘めたウィングカー!!」
        直角コーナーに突入していくポルシェ956と、後を追うシティ。
アナ「残り五周の勝負は、この二車に絞られたッ!! はたして、勝つのは、ポル
シェか、シティかッ!?」
        シティのステアリングを握り締めながら、
瞬(主人公)「こ、この直角コーナーで、前に出る! 車重を削ったシェイプア
    ップ・ボディをいかしてッ!!」
        ギャキキィーーーーーーン!!
        コーナー進入のため、ブレーキをかけるポルシェ956。
アナ「ポルシェ956、フル・ブレーキング! 急減速でコーナーへッ!!」
        ギュルルルルルルッ!
        左コーナーに向けて減速するポルシェ。その左側に猛スピードで突っ込
        むシティ。
アナ「ああっ! シティがブレーキを遅らせたッ!」
瞬 「車重(ウエイト)が軽い分だけ、ブレーキを遅らせ、コーナーの奥まで突
    っ込むことができる! パワーはなくとも、コーナリングだけは、確実に、
    こっちの方が速いっ!!」
        叫びながらポルシェのインを突き、
        ギャイイイインッ!!
        とコーナー立ち上がりでポルシェに並ぶ。
南郷(警部補。ポルシェのドライバー)「くっ!」
        と唇を噛むが、すぐに、
南郷「直線だったら負けやしないっ! いかにターボでパワーアップを図っても、
    シティのエンジンじゃ、二百馬力も出せやしまいっ! 七百馬力のポルシェ
    956のパワーに勝てるわけがない〜〜〜っ!!」
        ギュキッ!
        アクセルを踏む南郷の足。
        ヒュイーーーーーン!!
        ターボが唸りをあげ、
        ドッゴオオオオォォォオォーーーーン!!
        排気炎を噴射して、弾かれたように飛び出すポルシェ956。
瞬 「(ニヤリと笑って)もらったぜ、スリップ!」
        ギュン! とハンドルを切り、ポルシェの後方に潜り込むシティ。
南郷「ぐうっ!」

○霞ヶ関のビル街――

        ファイイイーーーーーーーーン!!
        ビルの谷間の直線を、ポルシェの後方十メートルほどに食らいついて疾
        走するシティ。
アナ「矢切 瞬の変身シティ、ポルシェのスリップ・ストリームにもぐり込んだ
    ッ!! こうなれば、パワーは非力でも、ポルシェのつくる空気の渦が、シテ
    ィを引っぱってくれる! このスリップ・ストリームを利用すれば、シティ
    がポルシェと互角に戦うことも、夢ではないっ!!」
        観衆の中で、
警視総監「ま、負けるな、南郷ッ!! 警視庁の威信にかけても、その小僧をぶっ
    ちぎるんだあーーーーーっ!!」

○直線の終わり――

瞬 「次の左コーナーで、トップをもらう!」
        左コーナーに突っ込む二車。
瞬 「でええええいーーーっ!!」
        瞬、右にステアリングを切り、シティを右に飛ばす。
南郷「うっ! アウトに飛んだっ!」
        と、あわててステアリングを右に切り、
南郷「抜かせやしないっ!!」
        ポルシェが右に飛んだ瞬間、
瞬 「やった! もらったああーーーーーっ!!」
        ギュイン!! とステアリングを左に切って、ポルシェの左インを刺す。
南郷「げえっ! 右に飛んだのは、フェイントかあっ!!」
        左インを刺し、コーナーをまわるシティ。
        (注・この攻防の部分は、原稿の欄外に図解あり)
瞬 「(前方を見て)うおあーーーーっ!!」
        目の前に一台のニッサン280Zが走っている。
瞬 「周回遅れのマシンだあーーーっ!!」
        追突しそうになり、あわてて、ギキキキッ! とブレーキングするシテ
        ィ。
        その右側をポルシェ956が、ファイーーーン、と走り抜けていく。
南郷「くはははは、残念だったな、矢切 瞬!」
瞬 「くそったれめーーーーーっ!!」
        280Zを追い抜き、ポルシェの後を追うシティ。
          *      *      *
        毎日新聞社前、千鳥が淵、警視庁前等で、ポルシェを追撃するシティ、
        そして瞬と南郷の汗まみれのアップをモンタージュさせながら、
アナ「六周目、七周目――! トップのポルシェ956、追撃するシティをガッ
    チリとブロック! まさしく王者の貫禄! よほどのアクシデントでもな
    い限り、もはやポルシェ956の優勝は確実っ!!」

○スタート前直線――

        ストレートを疾走する二車。
アナ「まもなく七周目終了っ!! トップ二車の順位には、変動なしッ!!」
        シティの中で、
瞬 「ちいっ! 負けてたまるかってんだ! ギンギンにチューンナップした、
    ターボエンジンが、本領を発揮すんのは、これからでぇッ!!」
        フィィィィーーーーーン!!
        唸りをあげるターボエンジン。
瞬 「(ふいに)うっ!?」
        と息を呑み、耳に神経を集中する。
        その耳に聞こえる、フィーーン! というタービン音以外に、ビリリリ
        ッという小さな異音が混じっている。
瞬 「き、きやがった。恐れていたものが、予定よりも早く、きちまったぜっ!!」
        頭上に輝く太陽を仰ぎ、
瞬 「あいつのせいかっ!!」
        スタート地点前ストレートを駆け抜けながら、心配そうに見守る麻美
        (ヒロイン)に、右手を高々と上げ、親指を突き出して、
瞬 「麻美っ!! F1だっ! F1ブリザード作戦スタートだあっ!!」
麻美「(ビクッとして)F1ブリザード作戦の合図! でも、予定では、F1ブ
    リザード作戦は、最後の一周だったはずなのに……!?」
        顔から汗を流しながら、頭上の太陽を仰ぎ、
麻美「あ、あの太陽のせいかっ!」
          *      *      *
        毎日新聞社前〜武道館横――等の光景と、走るポルシェとシティをモン
        タージュさせ、
アナ「矢切 瞬のシティ、南郷 猛のポルシェ956を抜けず!! 腕が互角な
    ら、パワーにまさるポルシェ956の優位は確実っ!」
        ポルシェ956の中で、バックミラーのシティを睨みながら、
南郷「ルマン24時間レースで、その耐久性は十分に証明されているポルシェ95
    6。このマシンに、ここまで食らいついてきただけで、敢闘賞もの! 誉め
    てやるぞ、矢切 瞬っ!」
        グッ!
        南郷がアクセルを踏むと、
        ヒュキイイィィーーーーン!!
        ターボが唸りをあげ、排気管から炎が噴き上がる。
瞬 「くそおっ!」
        と、アクセルを踏むが、そのとたん、エンジンが、バリバリバリッ!! 
        と音を立てる。
南郷「(その音を背中に聞き)やった! エンジンの限界だっ!! インタークー
    ラーなしのターボエンジンの、最大の弱点が、ついにボロを出したんだあっ!!」
        ポルシェに差をつけられるシティ。
アナ「シティのエンジンから異音がっ! エンジンの故障かっ!?」

○アナウンス席

        マイクに向かって座るアナと解説者(東大寺恒介の貼り紙がテーブルに
        ついている)。
東大寺「(アナに)故障なんかじゃありませんな」
アナ「え? 解説者の東大寺さん、どうして?」
東大寺「(性能データ表を見比べながら)あのシティには、インタークーラーが
    装備されていない。小さな馬力で、ポルシェに対抗するために、少しでも減
    量して、パワー・ウエイト・レシオ――つまり、一馬力あたりにかかる重量
    を下げるため、重いインタークーラーをつけるのをやめている」
アナ「インタークーラー?」
東大寺「(ターボエンジンの略図をからめて)あのシティのエンジンには、パワ
    ーアップのためのターボが装着されている。ご存じのように、ターボは、エ
    ンジンの排気ガスでタービンを回し、その回転力で、エンジンに送り込む空
    気を圧縮するための装置。エンジンの中に送り込まれる空気は、密度が高け
    れば高いほど、爆発力が強まり、パワーを上げることができる。
     しかしっ! ここに落とし穴があるのです!」
アナ「落とし穴!?」
東大寺「ターボの圧力を高めれば、エンジンのパワーも上がる。しかし、その分
    だけ排気ガスのエンジンも上昇し、その熱が伝わって、せっかく圧縮した空
    気まで、熱せられてしまうのです。
 空気が熱せられれば、当然、その空気は……!」
アナ「ふくらんでしまう……!」
東大寺「そう! せっかく圧縮した空気が、膨張し、密度が薄くなってしまうの
    です。そうなれば、パワーはダウンしてしまう!」
        (注・このシーンには図解が入る)
アナ「それじゃ、ターボを取りつけた意味がないじゃないですか」
東大寺「それを防ぐため、圧縮された空気を冷やすのが、インタークーラー! 
    省エネ目的の市販ターボ車では、高級車以外には、取りつけられていないが、
    パワーを追及するレーシングカーでは、インタークーラーの装着は、いまや
    常識! あのポルシェ956のハイパワーの秘密も、そこにあるのですっ!」
        と、ポルシェ956にからめる。
        バラッ、バララララッ!!
        エンジンがバラつくシティにからめて、
東大寺「インタークーラーなしのシティ・ターボでは、あれ以上は、パワーを上
    げられないっ! もはや、シティに勝利なしッ!!」
        疾走するシティの中で、
瞬 「(顔面汗まみれ。ギラギラと目を光らせながら)インタークーラーなしの
    ターボエンジンで、あの怪物ポルシェに勝つ手はひとつ!! F1ブリザード
    作戦しかないっ!! た、たのむぜ麻美! F1ブリザード作戦が、成功する
    かどうかは、お前の腕にかかってるんだっ!!」
        二十メートルほどの差をつけられながら、ポルシェ956を追うシティ。
アナ「八周目終了! トップのポルシェ956、二位のシティとの差を、ジワジ
    ワとひろげていきますっ!」

○裏道――

        狭い路地を50ccの見にバイクで走る麻美。
麻美「F1ブリザード作戦なんて、名前だけはカッコいいけど……」
        キイッ、と停まるバイク。
        その前に2トンダンプが駐車している。
麻美「(ダンプの運転席に飛び乗りながら)その正体は、このダサいダンプ!」
        走り出すダンプの荷台には、大きな荷物を隠すように、ビニールのシー
        トがかけられている。

○走るポルシェとシティ――

        シティはエンジンが、ババッ、バババババッ、とバラついたまま。
アナ「インタークーラーなしのシティ! これが限界かっ!? すでに息も絶えだ
    えですっ!!」
瞬 「急げっ、麻美っ! あと一周! あと一周しかないんだあっ!」
        キュワーーーーーーン!!
        バラララララーーーーッ!!
        ストレートを駆け抜ける二車。
警視総監「ふはははは。改造マニアの暴走族に、警視庁が負けてたまるかってん
    だあーーーっ!!」

○千鳥が淵、シケイン出口――

        ワーワーワー、と歓声をあげながらレースを見守る観客の後ろから、突
        如、パパパァーーーン! とクラクションの音。
観客「わわっ!」
観客「な、なんだ!?」
        人垣が割れ、ダンプがバックしてくる。
観客「ひえっ、ダ、ダンプがっ!」

○毎日新聞社前――

        走る二車。
アナ「レースは残り四分の三周! もはや矢切 瞬のシティに勝ち目なしっ! 
    優勝はポルシェ! 警視庁高速機動部隊隊員、南郷 猛警部補のドライブす
    るポルシェ956、いま、栄光のチェッカーフラッグに向けて、まっしぐら
    ーーーーっ!!」
瞬 「勝負は捨てねえっ!! この先、千鳥が淵特設シケインは、一車線のヘアピ
    ンカーブ。いやでも、ここで、差がつまる! たのむぜ、麻美! まにあっ
    てくれっ!」
        と、コース図のシケイン部のアップを想起する。
南郷「優勝はもらった! はじめから勝負は、わかっていたんだ!」
        千鳥が淵特設シケインに突入する二車。
アナ「幅一車線の千鳥が淵特設シケイン! 低速コーナーのため、その差は一時
    つまるが、コーナー出口でパワーの差が出る。いくらシティがふんばったと
    ころで、この順位の変動はないでしょう!」
        シケイン出口に向かう二車。
瞬 「(前方を見つめ)いるか、麻美っ!?」
        ダンプを見つけ、
瞬 「い、いたっ!!」
        シケイン出口外側に停まったダンプの運転席から身を乗り出して、
麻美「き、きたっ!!」
        シケイン出口、ポルシェが飛び出す。
南郷「最後のシケイン立ち上がりっ! フル加速だぁーーーっ!!」
        ドッ、ギャアアアァーーーーーン!!
        ターボの排気炎をロケットのように噴き出すポルシェ。
        バッ! 横っ飛びにコースに躍り出ながら、
瞬 「いまだっ、麻美ーーーっ!! F1ブリザード作戦、レッツゴーーーっ!!」
        ダンプの運転席で、グイッ、とレバーを引きながら、
麻美「それえーーーっ!!」
        ブアッ!!
        ダンプの荷台のシートがめくれ上がり、
        ギュワイイォーーーン!!
        巨大な送風機が、その前に積み上げてあった、砕いた氷の山を吹き飛ば
        す。
        その風にあおられる観客たち。
観客「う、うわあーーーっ!!」
観客「こ、氷の嵐だあーーーっ!」
        ゴワアーーーーーーーッ!!
        ダンプの荷台から、氷の破片が、雪嵐(ブリザード)のごとく、シティ
        を襲撃。
瞬 「(ブリザードを受けながら)うおおおおっ、チメテーーーーっ!」
        氷の破片が、シティのフロントにある空気吸入口に飛び込んでいく。
観客「シティが氷の破片を吸い込んだ!」
観客「あんなことしたら、エンジンがいかれちまうぜっ!」
        氷の破片を全身にまとい、キラキラと光りながら、ブリザードの中から
飛び出してくるシティ。
瞬 「腹いっぱい食らわせてもらったぜ、氷のかけら!」
        ぐっ、と前方を睨み据え、
瞬 「いっくぞおぉーーーーーッ!!」
        ギャキッ!! アクセルを蹴飛ばすと、
        フィッ! フィイイイーーーーーン!!
        排気管が炎を噴き出す。
アナ「おおっ! き、奇蹟っ! シティのターボエンジンが、よみがえったああ
    ーーーっ!!」
南郷「(ポルシェの中で背後のターボ音を聞いて)なにっ!?」
        カッキイイィーーーーーン!!
        警視庁の前で、ポルシェに肉迫するシティ。
南郷「ば、ばかなあっ! 奴のシティは不死鳥かあーーーっ!?」
        前方のポルシェを見据え、
瞬 「ターボの出す熱を冷やすためにゃ、インタークーラーを使うのが、一番ポ
    ピュラーな方法。しかし、インタークーラーは重いのが欠点!」
        フェラーリ、ロータス・ルノー、ウィリアムズ・ホンダ等のターボエン
        ジンを積んだF1マシンを、シティと瞬にオーバーラップさせ、
瞬 「そこで考え出されたのが、エンジンの中に水を噴射して、熱せられた空気
    を冷やす方法! 今年からF1で使われ始めた、最新式のターボ冷却法が、
    このウォーター・ジェット方式!」
        燃える瞬の双眸。
瞬 「そいつにヒントを得たのが、この……」
        ギャワワワーーーーーーン!! と激走するシティに重ねて、
瞬 「F1ブリザード作戦なんだあぁーーーーーッ!!」

○日比谷交差点――

        アウトからポルシェに並びかけるシティ。
アナ「シティが、アウトからポルシェに並んだっ!! 最後のストレート! パワ
    ーの勝負だあッ!」
        ギャッキーーーーーーーン!!
        ストレートを激走する二車。
南郷「く、くそおっ!」
        ギュキッ、とステアリングを切って、シティに幅寄せ。
        ガガッ、とフロントがぶつかり、
瞬 「ああっ、ばかっ、やめろ! ウイングカーで、そんなことをしたら……!」
        ブワッ!!
        ポルシェとシティのフロントカウルが、めくれ上がる。
        グワッ!
        二車のフロントが浮き上がり、暴風のような風がマシンに下に入る。
南郷「うあっ!」
瞬 「や、やっちまったあっ!!」
        ヒュキキイィーーーン!
        空中に向かって離陸する二車。
観客「り、離陸したあっ!!」
東大寺「ばかがあっ! 時速三百キロを超すウイングカーのボディ下に空気が入
    ったら、離陸するのは、当たり前だあーーーーッ!!」
        ゴールライン方向に向かって、空中を飛ぶ二車。
アナ「ゴールインは、空中からっ!! ゴールラインを先にまたぐのは、どっちだ
    あっ!?」
        チェッカーフラッグを広げる審判員が待つ。
        恐怖に顔をゆがめながら、
南郷「うおおおおおーーーーーっ!!」
瞬 「ばかったれえーーーーーっ! 負けやしねえぜっ! 空中勝負なら、車重
    の軽い、こっちのもの!」
        瞬の顔のアップで、ためを作り、
瞬 「おれのマシンは……、おれのマシンはっ……!」
        ワー、ワー、ワー!!
        大歓声を浴びながら、わずかの差でポルシェを押さえ、空中でチェッカ
        ーを受けるシティのストップモーションに、瞬のアップがかさなり、
瞬 「シェイプアップ・シティだぜえーーーーッ!!」
        ギュワーン! と着地に向かうシティとポルシェ。
アナ「大逆転だあーーーッ!! マシンが軽い分だけ、飛距離が出たっ! シティ
    優勝っ! 大逆転勝ちーーーーっ!!」
        グワッ! ドガシャシャシャーーーン!!
        アスファルトに叩きつけられ、メチャクチャにクラッシュするシティと
        ポルシェ。
        ワー、ワーという歓声が、ビルの谷間にこだまする。

○表彰式

        苦々しげな顔をした警視総監から、優勝カップを受け取る瞬。Vサイン
        を出している。
瞬 「(警視総監に)南郷のポルシェ956に勝ったら、おれっちが自由に走れ
    る、カーマニアの解放区を作ってくれるって約束は、ホントだよね?」
警視総監「も、もちろん……。約束は、きちんと守るわい……!」
        そこへ出てくる南郷。
南郷「自分も、そこで走らせてもらいます。ひとりの走り屋として……!」
        と、総監に警察手帳を差し出す。
警視総監「き、きみ……、南郷くん!」
南郷「(総監を無視して)このままじゃ、死ぬに死ねないぜ。矢切 瞬! 必ず、
    きさまを、ぶっちぎってやる!」
        と、双眸に執念の炎を燃やす南郷。
        そのの顔に、ギュッ! と冷えたコーラの缶を押し当てられて、
南郷「ち、ちめて〜!」
瞬 「カッカしてたら、オーバーヒートしちまうぜ! クールにいこう、クール
    に!」
        と、カカカカと笑う。
        その横で、
麻美「(ブスっとして)自分だって、ついさっきまでオーバーヒートしてたくせ
    に……」

                        (第3話・完)


原作メニュー
すがやみつるホームページ